
ペンクラブの言論表現委員会でGoogle問題に関する勉強会に出た。「秘密会」にするというので、なにを大袈裟なと思ったが、決して大袈裟ではなかった。
通常は委員会レベルでは縁のない取材陣が陣取る中、出版社の法務・著作権担当者がゲストとして参加してはじまったが、出版社側の危機感の激しさにたじたじとなった。表にするのをはばかれるような立ち入った話もあり、確かにこれは「秘密会」でないと具合が悪いだろう。
なぜ出版社はここまで危機感をもっているのだろうか。日本では版面権が認められていないので、Google問題はGoogleと著者の間の問題であり、出版社は直接の当事者ではないともいえるが、「Googleブック検索」のような形で著作権がおさえられると、出版社のこれからの生命線となる権利ビジネスが空洞化するということのようである。
発言者を特定できない形なら、内密と断った情報以外書いても差し支えないということだったので、以下、メモから摘記する。
最後の長尾構想とは国会図書館の長尾真館長が個人的に提唱しているプロジェクトで、電子化した書籍を国会図書館が有償でネット配信するというもの。国会図書館が本の流通に乗りだすことになるので、これまでは戸惑いと反発だけだったが、毒をもって毒を制しようということか。
今回の会合で一番重要な発言は取材陣の一人からあった。出版界の利益を守ろうという趣旨の発言ばかりだが、Google問題の本質は日本の文化発信力をGoogleに押さえられていいのかという国益に係わる問題ではないのか、というのだ。
言論表現委員会はペンクラブの中でも特に左翼色の強い委員会なので「国益」という剥きだしの言葉に一瞬場が白んだが、喉元まで出かかっていて言えなかったことを代弁してくれた発言だったので、賛同する声があいついだ。
自動車産業の先が見えてきた以上、これからの日本は文化で食べていくしかないが、その文化がGoogleに握られようとしているのである。
著作権者、特に遺族の中にはGoogleが絶版本を無償で電子化し公開してくれることを歓迎する声がすくなからずあると聞くが、一私企業であるGoogleにそこまでまかせてしまっていいのだろうか。「Google八分」のような実質的な言論統制の危険性はないのだろうか。Googleが倒産したり、買収されたりした場合、絶版本のデータが消滅する怖れだってないわけではないだろう。
日本の文化発信力という新しい視点を明確化できたことが今回の会合の最大の収穫だったと思う。

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