
リーアム・ニーソンのアクション映画なんてぴんとこなかったが、これは大傑作である。
主人公のブライアン(リーアム・ニーソン)は元CIA工作員で、家庭を顧みなかったツケで妻子に逃げられ、今は時々警備のアルバイトをしながら引退生活を送っている。妻が引きとったキム(マギー・グレイス)の成長を見守るのだけが生きがいだが、妻の再婚相手は大富豪なのでなにかと肩身が狭い。誕生日に選びに選んで携帯カラオケマシンを贈っても、養父の馬のプレゼントの前にはかすんでしまう。初老の鰥夫男の悲哀が楽しい。
ところが、娘がパリで誘拐されると、この冴えなかったオヤジが大変身する。娘を救うためにパリの裏社会で大立ち回りをくりひろげるのだ。相手は人身売買のシンジケート、こちらは娘を愛する父親という大義名分があるので、まったくためらいなしに殺しまくる。痛快の一語につきる。
実話もののように宣伝していたが、同題の小説を原作とするフィクションで実話ではない。スパイク・リーと戦争映画はミスマッチだが、イタリア戦線で戦った黒人部隊バッファロー・ソルジャーの話だとわかり、なるほどと思った。
物語は現代のニューヨークからはじまる。郵便局の窓口で定年間近の黒人の局員がイタリア移民の客を射殺したのだ。警察が家宅捜索をすると第二次大戦中に行方不明になっていたフィレンツェの彫像の頭部が見つかる。その謎解きを額縁にしてバッファロー・ソルジャーの話にはいっていく。
はっきり言って額縁は余計だった。いかにも作り物のハッピーエンドであって、白けるだけだ。
謎解きの行きつくところはパルチザン掃蕩に民間人が巻添えになったセントアンナの大虐殺事件で救いがない。映画としてまとめるには奇跡話が必要だったというところだろうが、ごたごたして冗漫なだけの駄作で終わっている。
バッファロー・ソルジャーの話は興味深いので、こんな小細工を弄せず正攻法で映画にしてほしかった。

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