久間十義
(ヒサマ ジュウギ)
略歴
小説家。1953年、北海道生まれ。小説家。早大文学部卒。社会事件に大胆な虚構をくわえた小説をつぎつぎと発表している。長編を本領とし、風俗的な要素をとりこんでいるが、本質的には知的な作風である。1990年、『世紀末鯨鯢記』で三島賞受賞。
→ 「作家と語る」
作品
『聖マリア・らぷそでぃ』
女子高生の間にひろまる謎の教団に偽装入信したルポライターが、教団のルーツをさぐるうちに回心を体験し、殉教を選ぶという物語を縦糸に、戦後史の隠れた構造を描きだす。
『マネーゲーム』
豊田商事をおもわせる詐欺会社を舞台に、システム管理者の女性とハッカーの対決を描き、人間がゲームのコマになってしまう不気味さをあぶりだす。文藝賞受賞。
『世紀末鯨鯢記』 1990年 3月 河出文庫
捕鯨船に乗り組んだ記者を視点人物に、捕鯨業界と環境保護業界の暗闘を描く。三島賞受賞。
『ヤポニカ・タペストリー』
戦前、満州にわたり、思いがけぬめぐりあわせから仙術を学んだ祖父の波乱万丈の冒険を、孫の視点から描く。石原莞爾、出口王仁三郎など、満州で暗躍した巨魁がつぎつぎと登場し、もう一つの日本史が展開する。読んでわくわくしてくる傑作。
『魔の国アンヌピウカ』
アイヌの聖地にもちあがったダム建設計画をめぐってくりひろげられる人間模様の背後に、ユーカラに歌われたもう一つの世界が顔をのぞかせる。
『狂騒曲』
地上げ屋の兄と、ノンバンクの融資係の弟の葛藤を通して、バブル経済の裏面史を描く傑作。
(C) 2000 Kato Koiti