『スモーク』

加藤弘一
*[01* 原 題<] SMOKE
*[02* 製作年<] 1995
*[03* 監 督<] ワン,ウェイン
*[03* 原 作<] オースター,ポール
*[04* 出 演<] カイテル,ハーヴェイ
*[04*    <] ハート,ウィリアム
*[04*    <] チャニング,ストッカード
*[05* 製 作<] ポニー
*[05* 地 域<] R2、NTSC
*[06  枚 数<] 片面1層×1
*[06  時 間<] 113分
*[06* 音 声<] 英語5.1、日本語
*[06* 字 幕<] 日本語、英語
*[06* 画 面<] 16:9 LBX
*[07  特 典<] 予告編、文書資料
*[08* 作 品<]☆☆☆☆
*[08* 特 典<]
*[08* 画 質<]☆☆☆
*[08* 音 質<]☆☆☆

 ポール・オースターの「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」をもとにした映画。脚本はオースター自身が担当し、ベルリン映画祭特別銀熊賞と国際評論家連盟賞を受賞している。

 「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」は村上春樹&柴田元幸のベストセラー対談、『翻訳夜話』の中で、二人が競訳している。翻訳のサンプルに使われるくらいだからかなり短く、映画では一番最後のエピソードとして登場する。

 「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」は、縁もゆかりもない老女に孫と間違えられたオーギー(カイテル)が、クリスマスなので孫のふりをするという人情話だが、これだけでは2時間の映画にならないので、オースターは人物とエピソードを追加している。

 追加されたエピソードも肉親関係の真偽をテーマにしている。第一話では作家(ハート)がラシード(ハロルド・ペリーノ)という黒人の少年を息子代わりに家に住まわせ、第二話ではラシードは12年前に蒸発した父親(フォレスト・ウィテカー)の店で正体を隠して働きはじめる。第三話ではオーギーのところに別れた恋人(チャニング)が訪ねてきて、二人の間の娘(アシュレイ・ジャド)が麻薬にはまって妊娠していると告げる。最後のエピソードはハーヴェイ・カイテルが原作をそのまま語って話芸の冴えを見せた後、モノクロームの黙劇で物語をなぞる。台詞はないが、「おばあちゃん」をやった黒人の老女が印象的だ。

 DVDらしいくっきりした映像だが、情報量は多くない。もうちょっといい画質で見たかった。音質も並。特典に「ジュークボックス」というのがあったが、メニューから曲名をクリックすると、その曲が使われている場面に飛ぶだけ。特典の材料がなかったので、苦肉の策といったところか。

 DVDとしては不満が残るが、作品がいいので、買って損はない。

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