『民族の祭典』

加藤弘一 *[01* 原 題<] Fest der Volker-OLYMPIA TEIL I
*[02* 製作年<] 1938
*[03* 監 督<] リーフェンシュタール,レニ
*[05* 製 作<] I.V.C.
*[05* 地 域<] R2、NTSC
*[06  枚 数<] 片面1層×1
*[06  時 間<] 110分
*[06* 音 声<] 英語
*[06* 字 幕<] 日本語(焼付)
*[06* 画 面<] 4:3
*[07  特 典<] 淀川長治解説
*[07     <] 文書資料
*[08* 作 品<]☆☆☆☆☆
*[08* 特 典<]☆☆
*[08* 画 質<]☆☆
*[08* 音 質<]☆☆

 1936年のベルリン・オリンピックの公式記録映画で、映画史に残る作品である。この映画は開会式と陸上競技だけで、他の競技は『美の祭典』として公開された。

 スポーツには興味がなく、リーフェンシュタール作品というだけで見たが、意外にも面白く、身を乗りだして見た。映像の氾濫する現在でも、これだけ面白いのだから、公開当時のインパクトたるや、すさまじいものだったろう。

 オープニングは、今の感覚で見ると、古くさい。ギリシャの遺跡が移された後、全裸で競技をする選手のイメージ映像になり、聖火リレーのイメージ映像、さらに聖火リレーの実写がつづき、オリンピックスタジアムの開会式になる。最初の9分間は、この映画で唯一退屈な部分だ。

 開会式ではヒトラーが開会を宣言する。各国選手団が入場行進をするが、カナダやフランスも含めて、多くの国がナチス式の敬礼をしている。さすがにアメリカは帽子を胸に当てるスタイルだが、当時はナチス式の敬礼には抵抗はなかったのかもしれない。

 前半はドイツ選手が活躍する場面が多く、国策映画的だが、後半は競技の面白さに主眼が移り、公平に場面を選んでいると思う。優勝を確実視されながら、バトンを落としたためにドイツが失格した女子400mリレーは、悔しそうなヒトラーの顔も含めて、ちゃんと記録されている。

 まだスポーツが発展途上だったのか、新記録がやけに多い。男子1500mなどは、5位までの入賞者全員が世界新記録である。

 日本選手ははじまって50分たった(チャプター7)三段跳びで登場する。月桂樹の冠をかぶせてもらう授賞式が映るのはここが最初で、国旗掲揚の場面では日の丸がひるがえる。数え落としがあるかもしれないが、授賞式が映るのは3回、国旗掲揚が映るのは6回で、日本は授賞式で2回、国旗掲揚で3回登場する。同盟国日本を贔屓したのだろう。解説で、淀川長治は、この映画が公開されると、日本の世論が一気にドイツ寄りになったと語っているが、確かにそれだけの影響力はあっただろう。

 この映画の日本贔屓はナチスの国策だけかというと、そうではないように思った。たとえば、男子1万メートル。背の低い日本の村社が長身のフィンランド3人組とデッドヒートをくりひろげ、最後は反撃ならず、4位で終わるが、これは国策とは無関係の人間ドラマとして、クローズアップしたのだろう。

 日米対決となった棒高跳びを中盤の山場にしたのも、人間ドラマとしておもしろかったからだと思う。この大会の棒高跳びは想定外の熱戦になり、5時間以上かかったことで有名だが、こういう絵になる場面に日本選手がかかわっていたのである。

 観戦するヒトラーの姿がよく映るが、ドイツ選手の活躍にはらはらしたり、大喜びしたり、まるで子供だ。

 特典映像は淀川長治の3分ほどの解説だけ。久しぶりに淀長節を聞き、懐かしかった。チャプターは14に切ってあるが、競技の区切りとチャプターが一致しない。I.V.C.は例によっていい加減だ。

 画質・音質ともによくないが、1938年公開としては普通だろう。ナレーションは英語で、日本語字幕がつくが、I.V.C.だけに焼付で、消すことができない。全訳しているわけではないので、うるさくはないが。

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